無罪

無罪 INNOCENT  目くらましの道 下 (創元推理文庫)  目くらましの道 上 (創元推理文庫)  エンドウと平和 (創元推理文庫)  豚たちの沈黙 (創元推理文庫)  三つの秘文字 下 (創元推理文庫)  三つの秘文字 上 (創元推理文庫)



「三つの秘文字」  S・J・ボルトン  創元推理文庫  ISBN:9784488207038 C0197
「三つの秘文字」下  S・J・ボルトン  創元推理文庫  ISBN:9784488207045 C0197
「豚たちの沈黙」  ジル・チャーチル  創元推理文庫  ISBN:4488275079 C0197
「エンドウと平和」 ジル・チャーチル  創元推理文庫  ISBN:4488275087 C0197
「目くらましの道」上 ヘニング・マンケル  創元推理文庫 ISBN:9784488209063 C0197
「目くらましの道」下 ヘニング・マンケル 創元推理文庫 ISBN:9784488209070 C0197
「無罪」  スコット・トゥロー  文藝春秋  ISBN:9784163816708 C0097



ボルトンのいちばん初めに邦訳されて評価された作品とのこと。ウイリアムアイリッシュ風のサスペンスにゴシックホラーが混じったような不思議な味わい。自分としては「毒の目覚め」の方が好み。こちらを先に読んだとしたら、それ以上手を出す気になれたかどうかわからない。レベル的には高いので、完全に好みの問題です。すれたミステリファンだと、途中で先の展開がわかってしまいそうな気はするけれども、それだけでは済まないというところがこの作家が評価された由縁とおもわれる。ハラハラドキドキがちゃんと後半に待っていますのでお楽しみ。
この作家の作品また邦訳がでたら是非読みたい。

ジル・チャーチルはだんだん主人公と刑事コンビが様になってきた。子どもの成長とも重なって来ているので時系列的に読み進める。


「目くらましの道」
後半になってファイアーウォールで言及のあった事件のネタバレが脳内に蘇ってしまったので、謎解きとしての面白さがなくなり、少々残念だったが自業自得ともいう。国境を互いに接した国をまたがる犯罪が常態である警察機関の事情が、不謹慎ではあるが面白い。日本の刑事物はそうはいかない。日本も例外ではなくなって来ているのかもしれないが。

「無罪」
推定無罪」は多分絶対読んだと思うのだがなにしろ二十年も昔のことなので、被害者が女で容疑者が不倫相手の主人公としか覚えていない。さっぱりである。これを機会に読み返してみるのもよいか。読み始めて高橋和己の「悲の器」(かなしみの うつわ)がなぜか頭の中に浮かぶ。設定はたしかに似ているけれどあっちは文芸賞受賞?の純文学。何故?と考えたら、どうも陰々滅々の主人公の語り口から連想したのかもしれぬ。こっちはミステリーでありますが、そう言うよりも文学寄りか。それなりの歳にならないとわからない感覚があるものだなあとしみじみ思わされる。余り詳しく語れば語る程墓穴を掘りかねないというテーマではあるが、結婚というものを考える意味で考えさせられる。

伯耆大山もしっかり山頂に雪をいただき、雪起こしの雷も鳴り響きました。やれやれ、もう少しすれば「年の暮れ」です。いったいこの一年何をやってきたのだか、と思う時季となりにけり。