飲めば都

飲めば都  The Chalk Girl (A Mallory Novel)  タンゴステップ〈上〉 (創元推理文庫)  タンゴステップ〈下〉 (創元推理文庫) 問う者、答える者 上 (混沌の叫び2) (混沌の叫び 2)  問う者、答える者 下 (混沌の叫び2) (混沌の叫び 2)

「問う者、答える者 上」混沌の叫び2  パトリック・ネス 東京創元社 ISBN:9784488013493 C0097

「問う者、答える者 下」混沌の叫び2  パトリック・ネス 東京創元社 ISBN:9784488013509 C0097

「タンゴ・ステップ」上  ヘニング・マンケル 創元推理文庫 ISBN:9784488209087 C0197

「タンゴ・ステップ」下  ヘニング・マンケル 創元推理文庫 ISBN:9784488209094 C0197

「THE CHALK GIRL」  Carol O'Connell ISBN:9780425250303

「飲めば都」  北村薫 新潮社 ISBN:9784104066070



何の事は無い「ゲーム三昧」というより「中毒」状態で年越し正月を迎えた今年。運動どころか炬燵の守で身体にまずいものが。
以降ゲームに魂を吸い取られたごとく更新もとだえておりましたが、とりあえず。


パトリック・ネスは年の瀬に読んだもの。「心のナイフ」の第二部。地球から植民した辺境の惑星が舞台。
原生の住人?を駆逐して農業を中心とした町や村を広げて行った人類の間に「男性に限ってテレパスになるという病」が蔓延。互いの頭の中が遮断できない、つまり「常時脳内ラジオ解放状態つつぬけ」の男性と反対に女性の考えは全く「読み取れない」という差から 男性は女性に対して猜疑心にさいなまれ集団隔離、あるいは極端な暴力衝動へとのめりこんでゆく。
設定はファンタジーともSFともつかぬわけですが状況はとても深刻な物語です。ジュブナイルのジャンルに入れてあるのかもしれませんが そのなかで語られる暴力や描写は諸手をあげてお勧めというわけには行かないくらいの激しさ。 第三部はどうなるのか。移民船が出現したところで終わっていますけれども。ハードなジュブナイル、そんな言い方があれば正にそう。初めてお読みになるなら第一部から。第三部の邦訳が待たれます。

「タンゴ・ステップ」
シリーズものの一冊かと思って読んだら違っていた。主人公は37才の舌ガン宣告されたオトコの刑事。
頭の中が数ヶ月後に始めるガン治療のことで狂いそうになっている。たまたまもと同僚が殺された記事をみつけ、 目の前のことからの逃避衝動に駆られて所管の違う事件にあたまを突っ込む。全然不自然さがない。傑作という呼び名に納得。なかなかこんな良い作品出会いません。

「The Chalk Girl」
オコンネルの疾走感はんぱなし。話の始まりから全力疾走なので下手に初めから粗筋書いたらあとで殴られそう。 てなわけで粗筋なし、ていうことになると何を言うかって言う話ですが。
マロリー・シリーズです。今回は赤毛と笑顔が印象的で「妖精」とまがうような少女が出て来ます。 てなところでしょうか。当然「面白い」。邦訳待っています。ってその前に「Find Me」の邦訳してよという話ではありますが。 時系列的にはその後の話となると思いますが、直接的にはつながっていない。
マロリーが予告も無く報告も無く数ヶ月職場放棄して行方不明になっていた結果、懲罰配置として現場復帰が許可されず 一日中書類仕事をさせられているというところが唯一の言及か。彼女とライカー、チャールズの家の契約掃除婦であるオルテガが妖精みたいな不思議な少女と出会い、 捜索と保護を要請したことからマロリーの現場復帰と物語がはじまる。
やはり、切ない物語ではありました。先日おきた体罰による高校生の自殺事件のことも思いやられ。 周囲の人間の悪意と事なかれ主義により孤立してゆく子供の物語でもあり。

「飲めば都」
北村薫による、出版社の編集者である女の子?の物語。久し振りにほっこりとした物語を。
でもゆめゆめこれを現実と思う勿れ。なんですかそりゃあ、というお酒の武勇伝が群れ成して。 ある意味酒乱の物語でもあり。ううん、これくらい酒に強かったら良かったのにと思い返すもあり。 二日酔いで折角の休日を台無しにするには勿体なくなったことでもありますが。いやいや、他人の酒の失敗は楽しい。自分に後始末が来なければ、のはなしですけど。