遠洋航海通信の1

いつもは全部その項の書き起こしを全部終えてから開示しておりますが、今回は途中です。
ゆえに途中で途切れるかもしれません。

なぜ「遠洋航海記」なのか、はじめて見たときは理解できなかったのですが、「海軍兵学校」の項を書き起こしてようやく推測できたのでした。これは「海軍兵学校の海洋演習」の記録であると思われます。
さすがに将校を育てるためにはこういう実地体験が必須なわけで、ため息がもれそうになります。

どういう課程ののちにこのような実習に出るかについては、海軍兵学校の解説の部分をご参照ください。
なにしろ、国家のトップクラスの集団の人が文章を書いている訳で、凡人の自分には書き起こすだけで相当荷が重く、しかもこの記録の意味が分からなかったので余計に嫌気がさして中途で放っておいたものです。

盆の休みに最後迄できるとと半強制的に展覧する次第であります。うちの盆休み三日間しかなくてかつ忙しい…(泣)

3.3 遠洋航海通信  校外会員 高橋節雄
(第三号 48頁〜54頁)

3月19日
愈今日を以て予定の如く比衞艦に帆かけて北米「バンクーバー」に向い遠洋航海の途に上らんとす、
朝来同泊諸艦将校の来訪するとの頻りなり皆曰く安全の航海を祈ると、

10時18分副長号令一下即ち「ホーサー」を解て浮標を離れ微速を以て前進を始む一天拭ふが如く些の雲翳を留めず横須賀湾頭の諸峰春風に浴して緑濃かに笑を含んで我征途を送る○の○如く快限りなし

艦漸く進む同泊の諸艦我が為に登索礼式を行ひ「奉賀」の声湧くが如し我亦之に対ふこれより先横須賀丸鎮守府参謀と共に楽隊を載せ来りて我艦側にあり頻りに「死すとも退く事勿れ」を奏して我と共に並進す

満艦の将士意気勇躍誓て曰く我務を果さずんば死すとも帰らじと、将に湾口を出でんとす諸艦檣上信号旗翻翻たり、

眼鏡を以て之を窺へば「汝の安全なる航海を祈る」と我直ちに応ずらく「誓て我任務を全うせん」と