遠洋航海通信の2

横須賀から出航にあたり、艦隊の船などが見送りしてくれます。
正統派漢文は格調高いが、書き起こしは苦労します。

10時45分湾口を出で全速波を切りて進む楽隊が奏する「オーランサイン」悲壮沈痛を極む已にして彼巡り帰らんとす其声更に沈痛我「奉賀」の声と和して悲壮言わん方なし

11時横須賀湾口も漸く霞の裡に収まり吾妻山僅かに其螺○を現すのみ乃と南東に定針して東京湾を出づ既にして房州鋸山下に至れば驀然水雷艇隊の波を切り我に向て突進し来るを見る蓋し艇隊も今朝来演習の為めに房州沖に在り会会我の至るを見我に向て攻撃を試みむとせるなり

乃ち艦隊は2小隊に分れ第一小隊は旗艇小鷹を首とし我左舷に向て進み第二小隊は十五号艇を○導として我右舷に向て進み各攻撃距離に至りて火箭を上ぐ霹靂海波を驚かし流星天に鳴り壮絶快絶を極む

日頃より高き房州沖の海波の我壮途を送らんためにか此朝一層の躍動を極め艇隊の諸艇は一起一伏?々たる海波の間に隠見し忽ちにして沈み忽ちにして泛び就中