7号 波間の千鳥の6

今度は「名誉競争」決勝戦ということでしょうか。無論根拠となるのは時間なのでしょう。駆け引きの細かさもまた見物。

第14回 白3年
赤2年
スタート共宜しくして互角なりしが500メートルに於て白赤を抜き赤危からむとせしをハードにて之れを防ぎ復又互角となりしが700メートルにて赤白を抜き決勝点に於て猛勢のヘビーを利用し一艇身を以て赤の勝4分50秒


第15回 今回のレース中優等の者二をして雌雄を決せしむるにて月桂冠を戴くと戴かすると今一挙にあり選手の負ふ責任大なり見物は手に汗して勝負を眺めたり花々しき戦端実に当日唯一のレース況んや共に共に4分20秒を以勝ちを得し物なれば一入の見物なり


名誉競争
4年  飯塚 古藤 魚谷 西野 新田 井上 久保田 (12回)(赤)
寄宿者 村上 野坂 石原 広島 中林 高林 引野  (第8回)(白)
スタートにて敗す劣らずの調子にて突進し4年は33本(1分間)寄宿舎は34本(1分間)にて互角なりしが略300メートルにて赤白を抜いて突進し波を砕きて猛進せしに白は悠然とかまへて毫も動せずロングにて漕きて余裕を示し一挙にして敵を屠らむとする者の如し亦赤も一艇身先たちてロングに漕き共に此の体度にて600メートル迄続けしに同時に共に調子を早め決勝点にて勝たんとの伏線を敷けり
八百五、六十メートルにて赤は41本を漕ぐ(其中31本より10本ハード)白はロングの強きを37本漕き尚ほ3分の2艇身程の差はありしが80メートルに及び猛勢のヘビーを以て赤を抜かむとせり
赤もさるものヘビーを以て之れに応せしが白の力や勝りけむズーッズーッと赤を抜くに舟にては赤白ホワイト、レッドの音天を衝くばかりにて只真の瞬間狂人の如くなりしが舟首の決勝点内に入りし時又二度なき勝負なしとなりぬ而して尚ほ奇観たるは4分20秒真に奇只選手諸君の腕前に威服するの外なし名誉の月桂冠共に両者の戴く所となりぬ