7号 波間の千鳥の7

この項は今回で終了です。時折松江の橋を渡りながら考えるのですが、この競争はどちらからどちらの方向に向かって漕いでいたのだろうかと。現在の湖岸周辺は、かなりの埋め立てが行われていて形が変わっているのです。松江しんじこ温泉周辺のところは昭和時代にたしか埋め立てられ造成されており、また大橋川河畔も同様です。

売布神社(めふーじんじゃ)の北側には道路が現在通っていますが、多分それもない。このように随分河畔が変わったことが宍道湖周辺の水質の悪化や冠水などの原因の一つに擧げられるわけで。最近は川を広くする工事を公主導で行うというのでいろいろ論議が喧しい。埋め立ては目先の利益が見えますが、出来たものをなくすのは難しいものです。

「新大橋」も「くにびき大橋」もなし、今街になっている天神周辺は即宍道湖に接していてと考えていると、なんだかナビの話を思い出しました。
古いナビで見ながら新道路を走ったら「海の上を走っていた」とかいう話。頭の中のナビを働かせたら宍道湖の上を歩いている自分が見えてきます(笑)

選手競争 惨憺!!! 好前兆!!
我がボート界の勇将名誉あるチャンピヲンたる骨子たるファヲスト、チャンピヲン。セマンド、チャンピヲンの競争にして目覚しき勇ましき競争なり風は此時いやましに吹き荒れて沖のスタートのゴールは砕くる波の為めに隠見し舷低きレースボートには危き程なりされどチャンピヲンは何の物かはとスタートに向って行き暫時の後号砲と共に矢を射るか如く真一文字に漕ぎ出せり、


波は高くして舟を隠しては表はし舟波を切って進むに中途にして本選手の舟半艇身余を抜きて尚ほ猛進せむとせしに二選手も何んのそのと力を込めて漕く刹那舟は飛箭よりもいや早く進む事故波に従ふ能はず落ち来る波の横腹見掛けて舟も砕けよとばかり突進せしかば何條たまるべき舟首は波に食ひ入り遂に浮ばずして舟は漸々に沈み行けり、すわ沈没よと騒き本選手は直ちに救護に赴き嫁ケ島よりもボートを以て馳せ向へり此処に於て当日白眉のレース
は中止せられぬ、


河豚の子の如き選手の無事は勿論なりバウの角氏の如きはクラッチを持ちて飛ぶああ此の沈没此の中止而して惨憺是れ吾人取り惜しむべき事なるか否否若し波に食ひ入る如き手腕あらざりとせは波に従って漕ぐ故決して沈没の憂なきなり
されと我が選手にしてこの腕あり当日の如き波に当りて波に食ひ入りて沈没する事当然なり故に舟の沈没せずして碌々のレースを為さむよりは寧ろ這般の活劇を表はされし事を感謝するなり而して此の惨憺吾人の胸中にある野心の好前兆!!!
此処に於て今回の端艇競争会は終りを名前げたり
我がボート部万歳!!!