7号 柔道試合の2

内輪の試合の残りと、対外試合の一部。解説は9試合目まで。

これより三本試合に入る

5  ○ 上代 績    6 ○× 中井 俊造
  ○○ 後藤 美隆    ○× 岡 隆知

(5)上代氏小作の痩形なれど技の奇麗にして清高なる後藤氏の悠然たるに比して誠に好個の敵手、上代氏の昔負投天晴なりしも、いで、さはさせずと勉励叱咤、後藤の抑へと巴投はあへなく敵を屠りにけり、(6)共に氏が柔道界の老将火花を散らして戦ひしも各得る所ありて引分け、


是より対外試合
7  ○ 田中 稲之丞     8 ○○ 三浦 三郎
   山口 熊吉        柳多 清一
9  ×○ 並河 隆      10  ○○ 村上 章
  ×○ 竹縄 某         西村 伊太郎
11  ×○ 上代 績     12 ○ 杉谷 茂
   ×○ 熊崎 新太郎      渡邊 鑑治
13  ○○ 岩田 権次郎   14  × 榊原 久三郎
     周藤 建之助      × 安達 清

以来萬腔の勇を振ひきといへどもいはば同胞の内輪喧嘩、負くるも勝つも巳か儘なり的の覚悟なりしが是より愈々対外の責任試合とはなりぬ。
(7)各面々片唾を呑んで待ちに待ちたる花武者は齢は二八か紅顔の田中氏監獄にてもその人ありと知られたる山口氏實に好一対の敵手なりけり、軈て鮫龍玉を争ふの慨ありしか、奮闘一番田氏の巴投美事一本ドーとの声と諸共に気も魂も挫けけむ山氏モーまゐりました、と退きぬ田氏や元此技を学んで日尚浅しといへどもその体力と勉励とは頻りに諸先輩を凌駕せむとす、君尚春秋に富み前途洋々として春の如し乞ふらくは吾人の望蜀をして水泡に帰せしむる勿れ(8)三浦氏元慄悍卓抜の士、柳氏豪なりといへども難なく倒されぬ。(9)その名隆々たる並河氏その名も荒長き竹縄氏技術に於ては遠く前者に及ぶ能はねど如何なる機か之を抑へて引き分けとは天晴れ、