7号 柔道試合の3

対外試合の解説後半です。警察が加わっているらしい。表現が漢文調だと迫力あります。

(10)西村氏猛勇なりといへども技未だ委しからず遥に村上氏の得る所2本、
(11)大兵の髯武者熊崎市之れ青年御座んなれや一つかみに、つかみ申さんと金剛力絞りて躍りかかればば上氏も名代の手利き小癪なりとて挑みしか熊氏の力量勝りけむ足払一本後れを取りし上代氏満面に血を濺き日頃の手並見せ申さんと勢込みて突き進み出す得意の背負投げに流石のた大兵も中空飛んで倒れにけり、(12)日頃猛虎の名を得たる渡邊氏吾驍将杉谷氏と組み討ちて暫く互角を守りしが如何なる隙やありたりけむ杉氏胴〆甲斐ありて一度敗れし渡邊氏は既に根尽きて退きぬ、(13)警察部内齊力を以てその人ありと知られたる周藤氏満身の力量双の腕に集めつつ只一打とあせりかくれば岩田氏もさるもの城見岡の寒風に鍛へに鍛へし腕の程いでや見参仕らんと奔馬の狂ふ勢にて跳りかかりしか流石は練磨の効見えて腕〆め一本周藤氏か嘗て馬腹を挟みしその足は骨をも肉をも砕かむと得意の胴〆あはや岩氏も危く見えし間一髪奇しくも逃れし手なみの程いかでこのままにては捨て置くべきと岩氏の勇気倍々加はり叱咤一喝又もや腕〆、あはれや周氏も支へ得ずして斃れぬ遺恨千秋、(14)共に満身の血を絞りて翩々転々戦へど、たい渡ならぬ汗ばかり何時極まるべしとも見えさりしかば、あへなく引分けの命は下りぬ。対外をはり