運動上の注意の4

わざわざ項目をたててこんな短い(わかりきったことの)文章しか書かないのはいったい何故よと、つっこみたくなる。
題目を見る度に江國香織の「泳ぐのに…」の題名を思いだしてしまう。

呼吸云々の項が決め手でこの文章を書き起こす意欲?がでたのですが、統計的にというよりも雰囲気てきにこんなものだったかと知るのには適当かと思います。しかし日本人が体格的に?再劣等だと述べたあとで外国での衛生不良を証明するのはどうかな。
この前後にロシアにジャーナリストとして滞在していたアーサー・ランサムの関連本や、ロシア革命のためにヨーローッパに亡命した両親を持つ有名な伝記作家がロシア革命時代の民衆社会状態のことを書いているのを見ると、日本人社会の方が衛生状態ほかほかよほどましだったかもという気がしてきます。どちらがマシかとか、どちらの生活が楽だったかという比較は階級の貧富差、社会体制の違いにより出来る筈もないのでしょうが。

ともあれ、肺病・天然痘で死亡する人が多かったろうというのはたしかとして。スーザン・ソンタグによれば、肺病病みが一種のステイタスであった時代もそう昔ではなく、文学青年のステイタスもそんなところがありましたね。思い返せば梶井基次郎などなど。自分の好きな中島敦は喘息でしたが、芥川龍之介太宰治など似たようなイメージが。
ちょっと今回コメント多すぎ。すまん。

2.2.4 連続的運動は身体に害があります
遊戯にせよ体操にせよ長時間連続してやるのは甚だよくないと云ふとは吾人は実験上慥に御了知のことでありますか之れ等の点より推して彼の体操に於ける力の強弱論は八釜敷なつたものであり且つ必然のことであるかかる点は余程注意して居らないと一見些々いの事であるかと注意する人が少ないが決して軽視するべき事ではありませぬ、若しも之れを不注意に過しましたなら折角貴重の時間を費ひやして運動をしましてもいはゆる労して効なしとなるのです。


2.2.5 呼吸は必ず鼻孔よりすべし
凡て運動及び其他の時間を問はず呼吸は鼻孔よりせんといけない何となれば口の孔には少しも障碍物がないから直接に肺臓内へ色々の塵埃がはいる、之れに反して鼻孔には粘液もあり毛もあるからして肺に入る空気は之れ等の障碍物に塵埃を粘着せられて清潔となる故口孔に比しては遥にまさつて居る此空気中の塵埃は大風の日ならでは肉眼にて視ることが稀でありますけれども其實常に空気中に充満して居るので、今近視眼鏡或は衛生眼鏡えお用いる人に誠に顕微鏡玉を用いて見なさい実に夥しき塵埃を吾々は常に呼吸して居るのです、

此塵埃中には恐るべき病毒性の黴菌がをるのてあるが之を知らずに吾々御互にやつてをるのてあるが若しも此の場合に於て身体が孱弱てあつたら忽ち此黴菌に跋扈されて、未来業成りし暁には一度政治界に出でて社会国家を左右せんとか或は八百重隔たる海外に遊学せんなどと遠大の志望を抱いても中道にして止さなければならないとか甚だしきは黄泉の地下に永眠するの不運に遭遇するのだから体育がいかに要であるかと云ふは茲に於て始めて明かになつたでありませう。


そこで塵埃の媒介に因る病気は最も肺病に多いので、此肺病は我国のみならず世界一般に流行して此れに依りて死するものか余程多い次の欧州西班牙のマドリッド都府の統計に就いてみても明かである。マドリッド都府は528、000人の人口を有する都会曾て最近5ケ年間の調査によるに其の死亡数は実に79、374人の多きに及んだので其%は16人弱と云ふ割合其の死因は次表の如く肺病に因むものが多数である。、
肺病に罹りて死せるもの     10,000人
疱瘡及麻疹病にて死するせる者   5,000人
(注 疱瘡=天然痘 麻疹=はしか)