うぶめのなつ

建築家 安藤忠雄 隠蔽捜査 花水木―東京湾臨海署安積班 文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

「建築家 安藤忠雄ISBN:9784103090519 C0095

「隠蔽捜査」  今野敏  新潮社 ISBN:9784103002512 C0093

東京湾臨海署安積班 花水木」(はなみずき)  今野敏 角川春樹事務所 ISBN:9784758410892 C0093

姑獲鳥の夏」(うぶめのなつ)  京極夏彦 講談社 ISBN:406187981 C0293

安藤忠雄については何冊か経歴も含めたところで読んで来たので、既に読んだものだったかどうか見分けつかず。最後の所に覚えの無い建築プロジェクトがあったように思えるので初めてかもしれない。いずれにせよ目の離せない作家?のひとり。京都の長屋住宅に住んでみたいけれども、行くことさへおぼつかない田舎者が何を言う、である。ただこういう地割りは出雲・石見(いわみ)地方には未だ珍しくない。建築するということならば施主が了解すれば可能。実のところウナギの寝床を横から眺めると面白いので、街に出る度に眺めて面白がっている。

「ハンチョウ2」の原作探訪。今野敏は初読み。食わず嫌いというかえり好みしていると時折損をする。おお、東京にも「アイソラ」が!これは87分署シリーズの日本版ではないか、といったら作者に叱られるだろうな。が、紹介するならそういった方が分かりやすかも知れぬ。ナイトキャップに最適のシリーズでしょう。平岩弓枝御宿かわせみを思い出す。
たしかにこれを原作として撰んだ方はお目が高いというべきであり。キャラクターは立っているし、短編でしかも脚本家にとってはかなりの自由度があるというか縛りの無い点楽だと思う。東野圭吾ガリレオなどはトリックが目玉であることもあって原作に忠実であることを要求される。このハンチョウだと、続けば続く程キャラクターの深みや厚みが増して来る仕掛けだ。

紹介が逆になったけど隠蔽捜査も面白かった。主人公の堅物さと思い込みの強さが憎めない。本人の自覚と周囲の認識のずれが笑いを誘う。どっか見たよな性格と思ったら、「花神」の大村益次郎だった。さすがにこの主人公は「夏はあついのがあたりまえです」とまでは言わないけれど。

姑獲鳥の夏」は再読。といっても遥か昔のこと。流石にこれは読むうちに少し内容も思い出して来た。処女作ですね。年代順逆に読んで来たわけだが、おかげでかえって理解が深まったかもしれない。京極堂をメインにおくと読む方は辛いような。かといって榎木津にしたらコメデイになるわけで。京極さんを初めてのひとにお誘いするなら、でもやはり「百器徒然袋」というのがよいかもしれない。