蓄音機実験

では年末にあたり、余興をひとつ

4.6 蓄音機実験につき郷友に報する文 2年乙 杉谷茂
(2号 68頁〜69頁)前略御免被下度候
予て新聞紙上にて御覧の事と存候処の彼の有名なる米国エヂソン氏の発明に成りたる新蓄音機本日本校に於て実験致され候処余り面白く感じ候に付き聊か其模様を御報導申上候

偖て此器は以前のものとも余程其趣を異にし護謨管を耳に押しあてて聞くが如き事無之一のラッパ状の物より音声を吹き出し候事なれは多数の人一度に聞く事を得る仕掛にて其器械は一見甚だ簡単の如く相見え候共

別に一の蝋製にて長さ三四寸径一寸余位の管様の物に如何なる音声にても蓄へ置く事に有候て之を其器械にはめて運転致させ候はば直に其本音にかはらざる音を発し候小生等の聞き候ものは演説軍歌三味線俗歌種々有之候処

其音といひ其曲といひ真に迫り幾十回聞かんも實に飽く事なかるべしと存候先は一寸御報知申上度委細は御面会
の上に譲り可申候早々不一